映画『人生フルーツ』について

 

年末年始のお休みの間に『人生フルーツ』を観に行ってきたんだけど、ほんとにすごくすばらしかった。

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映画『人生フルーツ』公式サイト

 

あとから私が「あのまま実行されていたら、たくさんの人は住めなかったけど、いい桃源郷になったでしょうねえ」と言うと、「そりゃそうだけど、このプロジェクトには大勢の人が関わるからね、一人の意見を通すなんてできないよ」って。

青木さんという上司が、「いつも一の矢、二の矢、三の矢を持っていて、一がダメなら二を、二がダメだったら三の矢を放て」という人で、お父さんもそれに共感して、常に次を考えていました。いつでも動けるよう、目の前のことはそのときに片づけてしまう。行動が素早いのはそのせいですかね。(『ふたりからひとり』つばた英子・つばたしゅういち、自然食通信社、2016年、p.47)

 

思いついたことをすぐやると、頭の運動にもなるからいいのよ。歳をとったら、もっともっと動かないとだめ。どんどん、後退していくばかりだものね。(『ふたりからひとり』つばた英子・つばたしゅういち、自然食通信社、2016年、p.96)

 

いつも新しいことを考えて、それを思っていると、できるかもしれない。

そういうことをやることが大事なのね。いままでは宝くじが当たったら建てようと言っていたけど、当たらないわね。買っても当たるわけではないけど、でも、なにもやらないのは、もっとだめよね。(『ふたりからひとり』つばた英子・つばたしゅういち、自然食通信社、2016年、p.163)

 

最近の私はだれかの暮らしを描いた作品に涙腺を刺激されてしまう傾向があって、『人生フルーツ』を観ながらその理由にぼんやりと腑に落ちた思いだった。

頭のどこかでの実感として、ゆめがおわってくらしがはじまるというか、そうやって自分を納得させていこうとしている私がいるようで、だからこそ誰かの暮らしのなかにこの先を歩んでいくためのひとつの指針だったり、自分自身が諦めて折り合いをつけていかなければいけない現実だったりを見出して涙もろくなってしまうのかもしれない。それが『人生フルーツ』を観て勝手に腑に落ちた自分についての発見だった。

ただ『人生フルーツ』において描かれていたのは、終わってしまった夢のその先という諦めを前提とした暮らしというよりもむしろ、日々のなかで実践していく、地に足のついた理想としての暮らしという印象の方がずっと強かった気がする。『人生フルーツ』のなかで描かれている暮らしは、津端夫妻がふたりで実現したひとつの理想、追い求め続ける夢そのものだった。

 

私は女学校二年まで母の料理を食べていたでしょ。体が弱かったから、外のものは食べられなかったの。結婚当初、お父さんはお肉屋さんのコロッケが好きで「母さん、あの店のコロッケ、おいしいから買ってきて」と言うから買いにいったけど、そのうち私のつくるものばかり食べて、外のものをだんだん好まなくなっていった。だけど崎陽軒のシューマイと、うなぎだけは別、ずうっと食べていました。

「好きなものは思い出がいっぱい詰まっているから、思い出をいっぱい食べているようなものだね」と、ある日、こそっと言ったの。(『ふたりからひとり』つばた英子・つばたしゅういち、自然食通信社、2016年、p.72)

 

この前、夏目漱石を特集したテレビを見ていたら、東京はあまりうまいものがない。京都のほうがいいって言っていたけど、でも最終的には“東京のめざし”、あれが一番おいしいって。それは、小さいときの思い出を食べているからなんだろうって。あー、そういうこともあるんだなって思ったの。同じものばかりくり返し食べても、ぜんぜん飽きないのはそういうことかって。(『ふたりからひとり』つばた英子・つばたしゅういち、自然食通信社、2016年、p.73)

 

映画を観終わったあと、パンフレットと津端夫妻の著書を一冊購入しました。すごくよい買い物だった~。

購入した著書はいちばん最近に出た一冊。

上に引用した好きな食べものについての文章になるほどなあ、と思わされてしまった。

というのも、『人生フルーツ』で登場する手作りのお菓子があまりにもおいしそうで(ケーキの焼き型とオーブンを使ってつくる焼きプリン、ホットケーキを重ねてクリームとたっぷりの苺を飾るデコレーションケーキ等)、観に行った翌日思わず林檎ケーキを焼くなどしてしまったんだけど、いざ食べてみると昔の方がずっと甘いものが好きだったな~としみじみ感じてしまう部分もあって。

昔の方がずっと甘いものが好きだったから、今甘いものおいしそうだな~って思うのはその頃おいしいと感じてた気持ちを思い出してのことでもあるんだろうと思う。だからこそ実際に食べると「はて…?」となってしまったりするのかもなあと。

そんなことをモヤモヤ考えていたところに引用した文章を読んだもので、なんだか変に繋がったような気がして面白かった。

 

https://cookpad.com/recipe/298353

簡単でおいしかった~。

パウンドケーキ型でやるよりもマフィン型とかで焼いた方が私は好きかも。

 

ふたりからひとり ~ときをためる暮らし それから~

ふたりからひとり ~ときをためる暮らし それから~

  • 作者: つばた英子,つばたしゅういち,水野恵美子,落合由利子
  • 出版社/メーカー: 自然食通信社
  • 発売日: 2016/11/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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