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アニメ『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』 第10話雑感

 試合最後、烏野のスパイカー×5人での攻撃のカメラワークが本当にすごかった。

作画どうやってやっていくんだろう。制作過程気になるなあ。

試合終了後、「負けるなんて思わないじゃないですか」って言う白布の横顔も呆然とした言い方もすごかった…実感が遅れて追いかけてくる感じ、感情がみるみる飽和していく感じ、その表現がとても的確ですばらしかった。

あと居酒屋おすわりの場面の烏養さんがすごく烏養さんだった…。

 

白鳥沢の引き継ぎの場面が見たかった気持ちはすごくあるし、正直「ここで終わるのかーーーーい?!」って終わり方でもあったもので第10話を最初見たときはちょっと唖然としてしまった。

尺が足りないのはわかってたけど、予想以上にバッサリ切られてしまったのは辛かった。白鳥沢という高校を描ける貴重な時間を4期の前振りに使ってしまってる印象は否めなかったというか…(4期が本当に放送決定したらめちゃくちゃ嬉しいしとても楽しみではあるけど)。

とはいえ第10話の天童くん本当にすばらしくて、こうしてアニメの天童くんを見ることのできたこの2ヶ月はすごく充実してたな、って思った。かけがえのない2ヶ月間だった。

 

 

天童くんは本当にかわいい。

試合終了後、ネット越しに握手するとき天童くんが真ん中に抜かれていたのが印象的だった。これってアニオリの描写なのかな、って思ったら小さいコマだしアングル全然違うけど原作にもあるんだね。

天童くんにとってこれが最後だから、って制作の方々がスポットライトを当ててくれた感じもしてなんだか勝手にじーんとしてしまった。

そして試合終了後の一連の場面を見ながら、泣かない若利くんが好きだし泣かない天童くんが好きだな、って改めて思った。

自分のなかですごく好きな台詞だったり描写だったりが続くからこそ、試合終了後の場面がコマの消化試合みたいになってたら嫌だなあ、と思っていた。特定の場面に割ける時間も労力も無限ではないだろうことはわかってもいたし。

「さらば俺の楽園」は原作の異質さのある天童くんの横顔がすごく印象的だったから最初見たときは若干悲しくなってしまったけど(たぶん私のなかで一番作画に力を入れてほしい天童くんの場面だったんだろうと思う)、その一方で若利くんとのストレッチの場面がすごくすごくよかった。

茶化すみたいに、何も預けないみたいに天童くんは若利くんの才能への信頼を言葉にして手渡す。この場面の天童くんはアクがなくてすごく優しい声をしていて、こんなふうに天童くんを演じてくれた木村さんが本当にすばらしい。天童くんのそういう穏やかで優しい一面を私は原作のこの場面に感じていた。だからとても嬉しかった。

アニメで見て改めて思ったけど、私はやっぱりストレッチの場面の天童くんがいちばん好きなのかもしれない。

台詞としては「自慢するから『さ』、ちゃんとがんばって『よ』ね」 になってたけど、自分のなかで木村さんのCVで検討した結果この言い方が間違いなくこのアニメの流れには合ってるんだろうな、って思った。

あと昔の仲間枠で取材オッケーだからね、って言った後、原作だと起き上がる若利くんを何事もなかったような表情で「?」って見上げてるコマだけだったけど(私はこのアッケラカンとした感じがすごく好きだった。なんだかすごく乾いていて、感傷っぽさが無くて)、アニメだと何も言わないで天井を見ている天童くんのカットが入ってて、その表情がとても静かで端整でアニオリすごくありがとう…って思った。

原作には描かれていないし原作を読んだときに個人的に感じていた天童くん像とはまた違うけれど、もしかしたら天童くんはこんな表情をしていたのかもしれないなって思った。そういうひとつの可能性を見た感じ、と言ったらそうなのかもしれない。

 

話は少し変わってしまうけど、『ユーリ!!! on ICE』の第11滑走を見ていて、なんだか勝手に腑に落ちたことがあった。

『ユーリ!!! on ICE』という作品のどこに私が惹かれてしまうのか、ってことを考えると、たぶんそれは「終わりを見据えて力を尽くす、そしてまた挑戦を選び、自分にとって特別なもの、価値あるものですら時に手放す決断をして前に進んでいく」という物語なのかもしれないと思う。

そしてその物語はきっと『ハイキュー!!』という作品に通底するそれともどこか通じていて、だからこそ私は第11滑走を見ながらダ・ヴィンチのインタビューの古舘先生の言葉を思い出していたんだろうと思う。古舘先生にとって「ジャンプでバレーを描けるのは、これが最初で最後」であるように、ユーリを製作している方々にとっても、アニメでフィギュアスケートを描けるのはこれが最初で最後になるのかもしれないからだ。

ハイキュー!!』の原作第185話で及川さんが言うように、「烏野には『守るべきスタイル』なんて無い」、だからこそ「新しい事に手を伸ばすことに躊躇が無い」。日向と影山の神業速攻ですら、烏野はすぐに捨てて新しくしてきた。

思い入れやこだわりは時に足枷にもなる。自分にとって思い入れのあるバレーを手放すことは、きっと天童くんがこの先を生きていく上でのひとつの挑戦なんだろうと私は思う。その選択の根底にあるのは、確かに自分の一番好きなバレーを続けていくことに対する諦めなのかもしれない。けれど、天童くんがバレーを止めるという選択それ自体には、天童くん自身のこの先の人生にとって間違いなく意味があるのだと思う。だって天童くんはまだ18歳で、この先を歩んでいく選択肢はいくらでもあるのだから。

「終わりを見据えて力を尽くす、そしてまた挑戦を選び、自分にとって特別なもの、価値あるものですら時に手放す決断をして前に進んでいく」。

私は『ハイキュー!!』という作品それ自体、天童くんというキャラクターそのものにどうしても古舘先生ご自身の姿を重ねてしまうから(「グランド・フィナーレhttp://tsubametobu.hatenablog.com/entry/2016/04/24/142744)、アニメの最終回に寄せた古舘先生のイラストに登場したのが日向と天童くんであったことになんだか勝手に納得もしてしまった。この二人でないと、とまでは思っていなかったけれど、この二人だよなあ、と内心変にニコニコしてしまったというか。

 

アニメ『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』を追っていたこの2ヶ月間、すごく充実していて、とても幸せでした。

本当にすばらしい時間をありがとうございました。